波うちぎわ にて    京谷 裕彰

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波うちぎわ にて    京谷 裕彰

革命の星
天王星は二〇一一年三月十一日に魚座の最後にあった
翌 三月十二日以後 生活が 世界が 一変したことは周知の通りであるが 
この日 牡羊座に移動したタイミングで原発が爆発した
スマートフォンやSNSの爆発的普及もまた 星の示す通りである

今 天王星は牡牛座
一九三六年と同じ度数を進む
砂金が地表に露出する
東にスターリニズム擬きの帝国復活勢力が 西には突撃隊系ナチズム擬きのチンピラが跋扈・・・・・・

中年詩人は恐山を夢む
恐山のイタコさんに 寺山修司さんの霊を降ろしてもらって 一緒に酒盛する光景を夢む
・・・・・・曰く「帝国の亡霊どもの守護者は魔神級だぞ」
「なにか打つ手はありますか?」
     「$%*/oS▼〃仝☆◎ΚΞη昭和*/oS※$$ぃす∝▼≒∞≠∂・・・・・・」

・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

ゴルバチョフさんが失脚する前の春でしたか

「資本主義のモンスターどもも みな泣く子なのだ 泣く子だったのだ・・・」
と語る革命家の霊が 夢に啓示を与えてくれましたよね

ジャスコで万引き ダイエーで食い逃げした伝説上の偉人に想いを馳せていたあの少年は 故郷を離れるとき 山陽百貨店で一張羅をあつらえてもらったのでしたね それは同じ春でした 

あのときは なぜ金貨の王の頭上に 梯子があるのかわかりませんでした
ミロおじさん カバコフさん あれは解放への 逃走のための 梯子だったのですよね
カバコフさん あれから二十九年 あなたのおかげでムーミンがカバではないことがわかりました 私は子どもの頃から ムーミンはカバだとばかり思っていたのです 日本の多くの子どもたちと同様に・・・・・・
そして淡路島は琵琶湖から土がごっそり抜けて大阪湾にぼちゃんとはまってできたもの そうとばかり思っていました
でもミロおじさん カバコフさん ムーミンは妖精でもなくて 天使なのだ 今はっきりとわかりました ありがとうございます そして淡路島と琵琶湖の秘密の関係を知る画家 しまだそうくんと引き合わせていただいたことにも 深く感謝いたしております
私たちは愚者ではありますが 梯子がつまった頭陀袋を みんな背負って前を向いて歩いているのですよね 

残酷な記憶の残骸を 祝福してくれた月の顔は毎日変化します 雲に隠れてみえない夜も 変化しているのです その周期が心に安寧をもたらします 臭気に安心する人であっても ですよ

四十年前にビニ本カメラマンだった倉田めばさんは その頃も今も ずっと詩を生きてらっしゃいます 私たちの大切な友人です(ココア共和国の秋さんとはその頃からの盟友だときいています)

そんなめばさんによって撮影された写真のネガポジと 八十七年前に満洲に移住した画家が描き綴った画帳とが 誰も知らないところで邂逅を果たす夜があることを 最近知りました 紀州亀寺の住職さんがかわいがっていらっしゃる 奇蹟のイシガメさんが 夢で語ってくれたのです
イシガメさんは またこんな話もしていました 昆虫食が食糧問題を救う最終解決であるかのように 嬉々として主張する人々は 過去世において虫を好んで食べていた人たちなのですよ と なるほど そうなのですか 私には検証できませんがイシガメさんがいうことですからきっとそうなのでしょう
そういえば 『ヨハネの黙示録』で天使が第五のラッパを吹いた後に 恐ろしいバッタが現れますよね・・・・・・

・・・・・・黙示録のラッパ吹き から カッパのラッパの谷俊さんの ラッパ へ 金壺眼(かなつぼまなこ)の谷俊さんがカッパラッタラッパはどんなラッパか 解放のラッパか カッパが吹くラッパか ガッコゲッコピョンの蛙が吹くラッパか  カッパらわれたのは誰のラッパか・・・・・・

それはそうと 他者の夢が私の夢に忍び込んでくるとき よくわからない声も響きます イシガメさんが語ってくれている間 ・・・私は屁こき虫・・・ とどこからか響く声もあったのです
でもそれは ニューヘブリディーズ諸島沖で バショウカジキが美しく 力強く海面をジャンプする夢に 心優しくバカショウジキなリキさんが 朴訥で滑舌のよくない声で突如現れるのとは ちょっと違う気がします 

敬愛する冨士原清一さんが
「私の夢は私と全く無関係に生きてゐる」(「魔法書或は我が祖先の宇宙学」) と
書き留めてくださった あのVISIONこそがヒントなのですね 心してかかります

詩を一篇書くことは 哲学書の一節を読解することに 照応するのですよね

何世代か前の過去世を生きていた私が 転生する度に巡り逢う恋人と交わした約束を 夢を頼りに思い出すことにします

二つの異なる海が 時間の霧の中で交わる
そんな 場所ともいえない場所で
交わした約束です 

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