不語仙敷蓮華經十句抄 酒卷英一郞
にしてんぢくの 凾中の
しらないくにの 春風を
はるまだき 誰も動かすな
天つ風 きのふかも
天つ言葉を 舌を差したる
吹くからに はなじやくろ
しやうりやうばつたへ いまいちど
さしもみどりの なんぢやもんぢやの
さしかかる 奇をめぐる
はねわりて 算術の
ななほしてんたうむし 奇術の產の
だまし 句術かな
うつつなに 夢殿の
踏まば蓮田の 鈴蟲籠に
あゆみいた 露を飼ふ