バス・ガール
上田 睦月
真夏のバス・ガールは止まらない
停止線を飛び越えて
膨れた鳥の面影さえも置き去りにした
道行く希望の群れと導く末路がバス・ガールの光に煌めいて
少女の言葉の意味を知るものはなく
少女の謳う意味さえも分からないまま
心と空の間の竜の腹が落とす
大きな影を
バルン
バルンと転がって
バス・ガールは止まらない
無くしたものを背負わせた
見知らぬ光に託した夢が
あんなにも愚かしいと
叫ぶ
バス・ガールが辿りつく
大きな流れの蠢く心臓
バス・ガールの伸ばした腕に
さらりと触れる調べと激動
少女の声は
奔流の中へと消えた
それでもバス・ガールは止まらない
上田睦月 プロフィル
1999年生まれ。鶉卵の串揚げが好き。定期的にギターにハマる。
最近は街をバイクで疾走する人。