大道大乗歩行―芸能芸術起信考―【五】
黒白心象 男波弘志
シリウスやどう壊しても匙の容ち
その色になりたい 烏瓜
土葬の土少しは入る 口の中
いなびかりして民族を 一と括り
前向きに倒れたる空 これも芝居
屈葬の膝を抱かせてくれないか
蛇の背で融けあつてゐる 赤と黒
ほんたうは骨だつた文字 花と書こう
鳥葬の骨も還してくれないか
見尽してしまつた女体 何か通れ
背表紙に溜る 福音 獣皮包ふ
鳥籠の輪郭線につづく 神父
水葬の棒となりしが 海に入る
執筆者紹介
- 男波弘志(おなみ・ひろし)
昭和41年(1966) 真冬 出生
北澤瑞史 創刊 俳誌「季」 元会員
岡井省二 創刊 俳誌「槐」 元同人
永田耕衣 創刊 俳誌「琴座」マンの会 元会員
現在 俳誌「里」 同人
既刊句集 『阿字』(田工房)
合同句集 『超新撰21』(邑書林)に入集