連載短歌第1回 次の瞬間死んでいるかもしれないということ 安田 茜

連載短歌第1回
次の瞬間死んでいるかもしれないということ
安田 茜

燃えるため命をこぼしたひとたちを寝る前にいつも思い浮かべる
立っているあなたを見てると潮が引くあたまのなかのひろい海から
あじさいは花屋の中だと高いほう 珈琲で胃を痛めつける日々
恋愛の曲はあんまり好きじゃなくただ今より着陸体制に入ります
足を踏みはずしたことが何度もありこれはそのとき挫いた足首
iPhoneで流す音楽とちょうどよく雨がたくさん降ってくれてる
この夏は石川いこう海みよう底のそこまでなみだ洗おう
はちみつをチーズのピザに垂らしたらそこからこころをほぐしはじめる
くるくると歩いて暮らして月を見て月は空では隠れられない
いきおいよくわたしはわたしを嘔吐する黒曜石でできた部屋にて
赤か青ならば私は青がよく、それよりわたしは雨風がいい
500円玉の厚さとおおきさは口にふくんでみたくなるよね
ああごめんなさい許してほしい生きるのを花のかたちを褒めてしまうのを
ささめゆき夏のはじめに降らせるよ海馬のとなりの公民館に
Wi-Fiが一瞬切れる 次の瞬間死んでいるかもしれないということ

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