内乱 上田 睦月
エントランス・ホールを掃除する管理人さんが、
箒で掃く手を止めて「こんにちは」って言った。
少しだけ間があいて、それから僕はぺこりと頭を下げた。
「 」 。
ただそれだけの朝。
コンビニエンス・ストアの店員さんが、
僕の手にお釣りを乗せながら「ありがとうございました」って言った。
少しだけ間があいて、それから僕はぺこりと頭を下げた。
「 」 。
ただそれだけの朝。
あるいは、雰囲気。
あるいは、関係。
要因ってさまざまあるけれど、
もし躊躇い死んだ言葉の頂に立ったなら、僕は宇宙の果てを知るだろう。
ぽん
ぽん
ぽん、ぽん
ぽん、ぽんぽんぽん
フライパンのなかでは、ポップ・コーンが跳ねている。
終わりが近い。
紹介 1999年生まれ。うずらたまごの串揚げが好き。定期的にギターにはまる。