宇宙蝕
斎藤 秀雄
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翁ども
日に吐乳して
おでこぱしー
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艶なおくり名 窓に記して
雨の奥処の 断頭ですわ
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鳥の柱を 降りきし影よ
まろぶ目玉に 棲んで頂戴
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殉葬や
神鳴る碗に
急須の飴湯
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てのひら沖る 夜の宇内に
胎火事の火で 蕎麦煮たきかな
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衾纏へる
オフィーリア
枕定めて
忘れ首
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遠い泉の まぼろし涸れて
鳩喰ふ鳩の 彩るひなた
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ロココの窓を 水音逃れ
疲労さいなむ とりたはけ
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天(あめ)裁ち割りし
天河石
〈かみさま〉以上の邪悪などない
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まごころや
糞戸やさしも
沸く六六魚