吸血鬼   黒川俊郎

  • 投稿日:2012年10月26日
  • カテゴリー:俳句

吸血鬼   黒川俊郎

吸血鬼目覚めてゐたり流れ星

あめんぼの脚を絡めて散りにけり

廻らせて抽象はいま蜘蛛の囲に

毟られた故は黙せり羽抜鶏

蚊一匹われ一人ゐて不仲なり

これ以上かすかにできず虹の橋

紙魚暮らすやや難解な虚構にて

ニンゲンは襞で成り立つ秋の波

折れた矢のまぎれてゐたる薄原

天高く回りて見せし腹の裏

作者紹介

  • 黒川俊郎(くろかわ・としろう)

1945年生まれ。本名・丸亀敏邦。「面」同人・「かいぶつ句会」同人・「河」同人・「大きな羊の会」代表。共著『俳句の一撃』(講談社)、電子書籍句集『時間の襞』(ハーグル出版) 。墨彩画家・ハンコ作家。(社)俳人協会会員・(社)日本美術家連盟会員。武蔵野美術大学卒業。現在、武蔵野美術学園学園長。

タグ:

      

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress