まっすぐにひかる 千田洋平
同情はいらない石鹸玉に触れる
分光器向けるや春の灯へと
ネーブルや離婚のわけをこぼす姉
ミルメークのためのひとくち今朝の夏
夕立やキャンバスの布張りかえる
五線譜へひかり八月が灰めく
虫の夜ボトルシップの知らぬ海
短日や母のドーナツ盤に傷
雪あかりごと夜を踏む賢治像
父は嫌い冬三日月の光りおり
千田 洋平(ちだ ようへい)
2002年生まれ。水沢高校OB。2020年現在、都留文科大学在学。山梨学生俳句会を立ち上げる。第22回神奈川大学全国高校生俳句大賞最優秀賞、第34回全国高等学校文芸コンクール俳句部門優秀賞など受賞。短歌と詩も創作。