夜寒 田村乙女
霜晴れやきーんと音のするやうな
ワレココニオハスと言ひぬ返り花
蒟蒻のおでんヒリヒリまだ死ねず
オールナイトニッポンあの日の夜寒
眠れずにひとり夜寒の端の端
冬が好きなれど仔猫は近寄せず
臆病な眼をした犬よ悴むな
初雪ちらり歩きゆく歩きゆく
風花となんときれいなひびきかな
ただ冬の波音聞きてゐるばかり
田村乙女
高知県在住。句会後の酒席に惹かれ作句を始める。
有季定型の中に自由を求めつつ。
「童子」同人 「水色俳句会」代表 句集「土佐幟(ふらふ)」
吉野川全国俳句大会高知県文化財団理事長賞ほか