秋のにほひ 真名ノ
秋のにほひ
私は草木が焼ける音と考える
鼻腔をツンざき
煙が漂うあの感じ
何故か毎回この匂いを嗅ぐと
先月の夏祭りの甘い恋心の後に残る
崖から落ちる様な虚しさが
左心房から右心室へと流れる
何に焦っているのか、何を不安に思うのか
分からない
分からない
ただ、朝起きたら
枕が濡れているのである
秋のにほひ
私はカラッと晴れた朝日と考える
ジョギング中に見つける
あの葉の露
日に輝く七色の露は
みんなの苦悩を背負っています
人間も動物も植物も
等しく左心房から右心室へと流れる
何に抗い生きるのか、誰のために生きるのか
分からない
分からない
ただ、朝起きたら
今日も生きるのである。