夏の家   上田信治

夏の家   上田信治

一と茎の百合の蕾の五つかな

水差しのかたちの水や少し減る

除湿器は加湿器よりも大きかり

用水池事務所まぢかく茂るかな

卯の花のまはりにつねに動くもの

あたらしき網戸に雨のふるふると

籐椅子の破れてゐたる記憶かな

雨ふりの歯で押して嚙むわらびもち

夏の家ワイシャツ干してゐたりけり

茄子漬に蛍光灯のとどこほる

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「作品2012年5月18日号」の記事

  

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