川柳/ブラック・サバス 川合大祐
漂流記盗作されて春の朝
対称にブラックバスを揚げながら
セーターの3足す4に勃起する
フロイトの自画像を貼る製麺所
梅が咲くポン酢の瓶のα消す
捨ててきた赤いナットに似たナット
バッティングセンターに死す日本史家
きくらげの詩を書いていた寒い星
スポイトを囲む血族踊り出し
皇后の打製石器で刺した 春
川合大祐
一九七四年長野県生まれ。川柳作家。バイト先の社長に「川柳やれ」と命じられて丸二十年。現在「川柳スパイラル」、共同ブロ
グ「川柳スープレックス」Twitterで活動中。著書に『スロー・リバー』(あざみエージェント)、『リバー・ワールド』(書肆侃侃
房、近日刊)。