10のpiano preparation     中島裕介

  • 投稿日:2012年11月09日
  • カテゴリー:短歌

10のpiano preparation

  prepubescent piano

革命の全てが終わっていた朝もぼくらはきっと「おはよう」という

  picaresque piano

二時間の午睡を町と呼ぶ君はおやすみ、今日をはじめないため

  prepaid piano

大屋根をあけてすべてを委任せよ ゆうべのカレーの具材をすべて

  preposterous piano

ご希望の質問にだって丁寧に答えてあげる「いいえ、ひとつも」

  polaroid piano

陽光の緑に変わる一瞬が弦へと融けてゆくのを待てよ

  piacular piano

ハンマーが振り下ろされる速度さえ無邪気なきみを想像させる

  prepositional piano

ぼくだけの前置詞として剥き出しにされてしまった 足を撫でれば

  prepossessed piano

もう一度かけ直すから。切り終えたばかりの髪を見ながら

  picturesque piano

原色のコサージュひとつ落ちている地下道 それを夏の海と呼ぶ

  prepense piano

ささやかな嘘の数だけ鍵盤のすきまに世界が生まれるだろう

【備考】
プリペアド・ピアノ – Wikipedia

作者紹介

  • 中島裕介(なかしま ゆうすけ)

1978年兵庫県小野市生まれ。短歌制作者。
第一歌集『Starving Stargazer』
『もしニーチェが短歌を詠んだら』
ウェブサイト:Staving Stargazer!

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