宿熱 七緒 らいせ

宿熱

摘んだままのマッチの枝
切り詰められて爪に移る

熱を宿せ
熱を宿せ
指差す先の不可知の恒星

誰にも知られず産声を上げた
熱を宿せ

熱を宿せ
瞳の奥のスクリーン
にせものの像を結ばないまま

熱を宿せ
熱を宿せ

全てを歩み通す無色の光
地にぶつかって欠ける前に

熱を宿せ
熱を宿せ

マントルの中心に続く
丹田のさらに奥底に

熱を宿せ
熱を宿せ

水深4000メートルから
湧き上がる呼吸のように

熱を宿せ
熱を宿せ

響く心臓の鼓動と
騒めき立つ表皮の襞

熱を宿せ<
熱を宿せ

経線0度の円環の
世界一大きな周を抱えて

熱を宿せ
熱を宿せ

手のひらに置かれた生命を
その炎ごと握り込めて

熱を宿せ
熱を宿せ

熱を宿せ

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