レモネードれもねーど 鈴木 康太

レモネードれもねーど

鈴木 康太

いったん土の下にもぐると
涙も雨も区別がつきませんね

わたしの向かいの椅子には
白いコートが掛けられていて
重い、って言ってました

光りあう兎
パソコン
どのほうも
遠く気配ある

横たわっているのは、なんですか
まくらです

泳いでいるのは、なんですか
レモネードです
レモネードが
レモネードのまま泳いでいった
かつては
それは私だったのかもしれない
私は灰にならなかったのかもしれない

そういう気持ちが溢れていた
島、
鳥が島におりる
島は鳥で黒く覆われている
島に降りきれない鳥は
海に降りる
海にレモネードが浮かんでいる

私はどっちの気持ちになればいいんだろう
背伸びして、ひねってまわる

それは、あとになって知ったことで、あのときは、ただ、ぼーっとして涙ぐんでみていた

おおきなのっぽな乗客は
剥製、
と歌う

拉致したたんぽぽ
部屋で群生する

私は穴に埋められました
そこには最初のたんぽぽがいました
拉致してごめんねと言ったら
ここは俺の部屋だからと言われて
それから私はだんだんと
群生していきました

その横に
咲きすぎる花束

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