日めくり詩歌 俳句 高山れおな (2012/06/26)

九十五番 文学金魚

左勝

文学も残した淋しい牛の舌 攝津幸彦

鈴木忌の水にブリキの金魚かな 攝津幸彦

「総合文学ウェブ情報誌 文学金魚」というサイトが出来たようである。

http://gold-fish-press.com/

「金魚屋プレス日本版発足の辞」という、わが「詩客」のマニフェストに相当する文章が掲げてあって、まことに気宇壮大である。こちらの代表は、齋藤都という人。当方代表の森川雅美氏もかなりの大風呂敷であるが、齋藤氏ははるかその上をゆくようだ。「二十一世紀文学は総合文学に向かいます。それは全世界的な傾向です」との見通しのもと、小説・詩歌から映画・美術までを視野に入れた批評サイトを立ち上げようというのだから。

http://gold-fish-press.sblo.jp/article/55315722.html

このサイトで奇特なことに拙文(朝日俳壇の時評と「俳句」誌の「今月の10句」)に対する言及が幾つかあったようなので、いろいろ感想など記そうと思ったのだが、途中まで書いてその気が失せた。

ともあれ頑張ってくださいということで、「文学」と「金魚」が詠みこまれた句で番組した。どちらも静かで淋しくて佳い句ながら、右句の「鈴木忌」のような面白がらせ方は少々あざとく思われ、左句「牛の舌」の実のあるナンセンスに一票、ということで左勝。ちなみに、坪内稔典氏の句集『猫の木』(一九八七年 沖積舎)には、次の秀作あり。

鈴木さんあなたは九月の木の匂い

攝津氏の句、坪内氏の句、ほぼ同じ頃の作だ。この二人の関係からして、攝津氏が坪内氏の句を見て、ちゃっかり忌日の句に仕立てたという可能性も皆無ではないな。いつか調べてみよう。

季語 左=無季/右=金魚(夏)もしくは無季

作者紹介

  • ●攝津幸彦(せっつ・ゆきひこ)

一九四七年生、一九九六年没。左右両句とも第四句集『鳥屋』(一九八六年 冨岡書房)所収。但し、引用は全句集より。

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