ペンネ   戸田響子

1223【連載 第3回(全6回)】 詩歌トライアスロン

ペンネ   戸田響子

今ペンネが受信している

月曜の朝まだ暗い公園の霜ばしら全部踏みしだかれて
粉々の硝子のような破片から細く細く鳴る悲鳴の残響
すべり台ジャングルジムにしみこんで加速してゆく金属疲労
炊飯器で米以外のもの炊かないでブランコが言い砂場がうなずく
霜ばしらだったものらが薄ら日に溶け残響も遠のいてゆく
砂場からプラスチックのスコップがあとからあとから掘り出されてる
一本のしゃもじが出てくる あっ、知ってる、それ、自立するやつ
立ち上がるしゃもじは最後の一撃でホームベーカリーリングに沈める

今ペンネが受信している

箱の裏よく見てみればわたくしが原材料に記載されてる
そのうしろあなたの名前そのうしろ課長と部長(遺伝組み替え)
来客用スリッパに向けおもいきりチャイナマーブルを投げつけている
来客用灰皿の中柿の種タイルのように敷きつめてゆく
来客用茶托をびっしり天井に吊るし星雲のように果てしなく
来客のチャイムが鳴って羽ばたいた課長と部長(遺伝組み替え)
茶托には蝿が止まってせわしなく前肢をこすりわめき散らして
ASAP絆創膏を貼ってくれアズスゥーンアズポッシブル早く

今ペンネが受信している

死に瀕したホームベーカリーは走り出す餅つきモードで来るもの来るもの
つき殺す電源はすでに切れているイースト菌より自然酵母だ
どうせみなおんなじなんだホイッスル超ひも理論によるとひもだし
わたくしもカリフラワーもホイッスルあなたも死んだ犬も和牛も
ホイッスル最後にうなぎをホイッスル食べさせてくれ有名店で
プレゼントの包みを開ければ新しいホームベーカリー ケーキが焼けるやつ
壁紙に丸い模様が入ってて洗ったばかりのキャベツを投げる
窓の外白い何かが降っている床に散らばるキャベツキャベツ
今ペンネが受信している

ホイッスルホイッスル

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