第7回詩歌トライアスロン三詩型鼎立候補作/自由詩「ソフトキャンディ」他 浪花小槙

【第7回 詩歌トライアスロン三詩型鼎立候補作】
soft

自由詩「ソフトキャンディ」他 浪花小槙

短歌

絶望を運ぶ曜日が好きなわけないじゃんかって言う週初め
掌に伝わる熱を思い出す嫌いなものがある世界にて
あのねって話しあなたが指折ってネコの愛しいとこを数える
むしゃぶりつかれたトマトの垂れた汁から生まれでた生命の名は
ストローがカップの中で折れ曲がり液体との仲人をやめた
点滅をした青色を渡ることができるような人のみの場所
ニンゲンの群れの足跡に潰されインゲンたちがないていますね
規則的で揃っているように見えてランダムな配置の群衆
噴水の形を作る塊は葉っぱでできて人に繋がる
うつくしいひとの後ろ一メートル開ける 春の残香があって

俳句

そぞろ寒立ち入り禁止らしいここ
冴ゆる部屋百鬼夜行をここで待つ
手をかけて咲かせた赤きヒヤシンス
ヒガンだし君の怨霊になりたい
ゴキジェット噴霧し死んだカブトムシ
五月雨に混じる姉らしい泣き声
机にはみかんの苦さ染み入らず
枝豆の殻だけ残るお弁当
授業中春一番が揺らす髪
失恋の経緯語る秋の風

自由詩 ソフトキャンディ

首輪をつけたまま走る犬を捕まえた
リードの持つ部分を地面と足とに絡めて楽しそうに走る犬を
わたしでさえも走っちゃいけない場所なのに
どこか嫉妬に似た感情が犬を抱きしめたわたしを包む

飼い主はどこにいるのだろうか
きみ飼い犬かい、と聞いても犬は荒い呼吸しかしない
勢いよく回っている尻尾が腕に当たって少し痛い

女の子がこっちに向かってくる
赤く腫れ上がったような顔に汗と涙と鼻水が輝きを与えていた
女の子は砂塗れの手綱には不格好なくらい小さい丸っこい手で犬を包む
さっきの嫉妬みたいな感情と香りがよく似ていた

犬は女の子に連れられわたしには一粒が渡された

放っておかれたようなベタベタのソフトキャンディは
わたしには甘すぎて
あの香りを思い出してしまった

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