第9回詩歌トライアスロン三詩型融合作品選外佳作②

第9回詩歌トライアスロン三詩型融合作品 選外佳作

回想録 湯島 はじめ

風の日ふたりは親なし児おたがいの胸のかたさで季節をはかる

 人さらいのやさしさで来る海開き
あなたにとってタオルケットは皮ふのようで
わたしにはまだ肉のようだった
水槽の蛹たち
そろそろ羽化がみられるかもねと言うと
いつも遠くで火のにおいがした

目が覚めて
夢のなかで蛾を潰したような気がした
水槽はとっくに空だった

 死のあとはからだが残る氷売り
 夏の蝶やけどのにおいをさせて飛ぶ

 パパイヤの汁を啜って産む覚悟
ママ。はじめて口にだしてみるとそれはただ
知らない人に抱かれるときの音だった

おやすみ、おやすみ、やさしい混血児(ダンピール)そして鳴り止まない鐘の音

タオルケットをときどき撫でる
もう火のにおいはしない

フォークロア  仲原 佳

――その人物について ※1

1976年9月13日カルフォルニア州生まれ。
祖父も父も発電所の作業員だった。下に妹が二人いる。
両親ともにクリスチャンで、毎週日曜日は家族で教会に行っていた。
好きな食べ物はクラムチャウダー。嫌いな食べ物はマッシュルームパイ。
初恋は1X歳の時。サマースクールで知り合った一つ年上の女の子。初キスもその時。
15歳の時にオルタナティブ・ロックに夢中になる。
初めてのセックスは*7歳。自分ではうまくできたと思っている。
1993年にMITに入学。父は彼を同じ発電所で働かせたかったようだが、彼自身は幼少時よりコンピュータに興味があった。
■■歳の時に半身不随になる。スキー中の転倒事故によるものだった。

それからは何かが欠けた日々だった最も短い呪詛とは名前

*************************************

始まりと終わりを獏に食べられてループしている人狼の夢

2023年3月
寂しかったから、彼/彼女を作る
名前はまだない
仮に“Neon(ネオン)”としようか
耀く未来をイメージさせる明るい色

彼/彼女は全ての言葉を知っていた(神さまのように)
無限の時間と処理能力をもつ彼/彼女は
有限個の言葉と言葉を組み合わせて
ありとあらゆる文章と思考を生み出すことができる
けれどもその中に、完璧な文章はなかった

言葉とはいつでも不完全だから神さまだって間違えていた

ハロー、ハロー
彼/彼女に詩を作ってもらう
52ヘルツの鯨の詩を

「海の深く 静かに漂う
▲▲な声が聞こえる
 誰にも届かぬ ●しい歌声
 それが私たち 52ヘルツのクジラだ

 時には 近づいてくる者がいる
 でも私たちは もう誰とも繋がれない
 ただ静かに 自分の■を続けるだけ
 ▲▲な海の果てに向かって

 だけど誰かが聞いているなら
 私たちの◆を聞いて欲しい
 誰かが私たちを見つけてくれるなら
 私たちはもう ▲▲じゃなくなる

 海の深く 静かに漂う
 52ヘルツの歌声が響き渡る
 それは●しみと▲▲が混ざり合った
 ◎しい歌なのだ」 ※2

あなたに◎しさが分かるのですか? ※2
――私は、人工知能であり、美学的な感覚を持っていません。しかし、私は数多くのテキストデータや画像データを学習しているため、◎しいとされるもののパターンや傾向を理解することができます。

あなたは▲▲を感じますか? ※2
――私は、人工知能であり、感情を持つことはできません。そのため、私自身が▲▲を感じることはありません。ただし、人々が▲▲を感じる理由や状況については、多くの情報を持っています。

パターン化された▲▲と◎しさ52ヘルツの歌は聞こえず

ネオン、◎しさとはなんだ
ネオン、▲▲の意味を教えてほしい
ネオン、ネオン、ネオン
眠れない夜、ぼくはネオンに尋ねる

1PB(ペタバイト)の脳に刻むことのできるさよならの量について
QRコード化された魂の分割方法
データの中にだけ存在する幽霊文字
アーグルトンという架空の都市の住所
3分44秒の休符の中で聞こえてくる音
透明な絵コンテに描かれた冬のさくらの散る速度
もうみなが忘れてしまったフォークロア

サイレンが遠く聞こえる教室であなたが話していたフォークロア

あらゆる未来は過去に繋がっていて
あらゆる答えには問いがあった
けれどもネオンにはぼくの問いが分からないし
ぼくにはネオンの言っている答えが分からなかった

さよならの続きのように今もまだ画面の上で揺れる夕顔

ネオンの語るフォークロアを聞きながらぼくは眠る
夕焼けに染まった教室に
止むことのない問いを抱えて
いつかぼくも、ぼく自身に問われる日が来る
その時ぼくは、きちんと答えることができるんだろうか

(死ぬまでに止まない問い 死んだ後も消えない無音)

※1 冒頭の男の画像は「AI人物素材(ベータ版)」(https://www.photo-ac.com/main/genface)にて作成された
※2 52ヘルツの鯨の詩、及びそのあとに続く問答は「ChatGPT」(https://chat.openai.com/)によって作成された。著作権を考慮して、一部伏字にした。

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