ひねくれる 山内 優花

ひねくれる
山内 優花

夕虹は
もう過ぎたことだと
人伝(ひとづて)に聞いて

身のまわりにあるものはすべて何かの痕跡として
散らかっている、巣になる
ヒトに使うなら比喩になることばだ
穂状に伸びて
隠れたら、温かそうだ
そのまま眠ってしまえる

わたし厭ですよ、紙屑のように棄てるの
飾るために花を、逆さに枯らしてもうれしくなかった
長引かせてよかったことなんてひとつもなかった
もう別の顔をしているだろう
ここで諦めて
も/
表情は、朗らかだろう
いなくなったものは数えられない
夕虹は
人から聞かされた話
わたしが何を信じるかは
わたしが決める
いま
あなたの顔が見える
虹が見える、幸福だ、はぐれていく

山内優花(やまうち・ゆか)
1993年生まれ。2024年の「ユリイカの新人」に選出される。同年、詩集『きせつきせつ』(和中書店)を刊行。

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