第11回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門受賞 短歌「存在の岸、潜在の道」俳句「change of」自由詩「檸檬への執着」 nes

第11回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門受賞
短歌「存在の岸、潜在の道」俳句「change of」自由詩「檸檬への執着」
nes

短歌「存在の岸、潜在の道」

開かずの間の前で眠って五芒星(わたしをどうか転換させて)
羨ましさが流れ弾としてだれかを殺すこの夜でも朝でもない性器
幸福度たかくおまえは虹の谷みたいに遠く執拗な速記
プリンまみれのもぐらたたきに異性装すばらしくある 異論など無い
なるかどうかはおまえが決めることじゃない 愚かしい下腹部を震わせて
格闘は正体不明のまま生きて 生きて 生きて 生きて 性違和
馬鹿 月は絶対わたしにおとずれない 十月の火で制度を燃やしたかった
適応がおまえを崩したとしても屑は屑のまま 双蛇がうごく
片脚を蜘蛛の糸へと垂らしつつその脚が無尽蔵に伸びてゆく 星
死を嗤え 十月十日の住所から勝負を挑まれて順化する

俳句「change of」

春菊のぬめりを知って声変わり
三月の本に亀裂を走らせる
珍しいアウフタクトに水温む
雪の果よりも幽霊文字がすき
耳かきを電車にしたら風光る
双葉から帰りわたしに性は無い
眼の奥の名前を呼んで笑われる
龍天に登る機械が水のなか
どうして四月みんな数字に眠ってる
アネモネをずっと護ってきた右手

自由詩「檸檬への執着」

あなたは何も燃やさない
どうして?

音楽を言葉にするためらいがわたしを侵していく
forteもpianoも文字にした瞬間
霧消してブラインドタッチをやめてしまった

あなたはずっと黙っている
また悲歌と嘲笑が地下鉄に降り注ぐのか?

それ、を仮に檸檬とするなら
彼の爆弾のように、ソナタ形式の心臓部のように
わたしを引き寄せてしまうのだろう

あなたは動かない
あなたは異性装をしたわたしだった?

性器をこれほど疎ましく思ったことは無い
私性も季語も反故にした暁には
大音量のホワイトノイズが肺を満たすのだろう

あなたが笑いはじめる
漸くEnterキーを押してそれから、遊星のプログラムが走った

わたしが定型を歩くとき、あなたはずっと檸檬を抱えてそこに居た
ピアノ一基が霜月に燃えるように、果てしなく水切りは続く
あなたの檸檬でわたしの眼を潰すために
わたしはFineをこれからも無視し続ける

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