天蛾   藤川夕海

  • 投稿日:2018年08月11日
  • カテゴリー:俳句

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天蛾   藤川夕海

夏の月首寄せて行く麒麟たち
白繭やひとりにひらく山柱
ふところに荒き黒櫛関帝祭
そぎ残すひとつ蓮や雨けぶる
夏帽子引つ張らる誰もをらぬ背に
天蛾のはたと留まれり夕暮るる
月食に触れ島よりのプロペラ機
青い月仮装少女の散らばらず
天窓へ金の埃とあきあかね
冬瓜の丸く明るく待ってゐる

藤川夕海(ふじかわ・ゆうみ)
俳人。「陸 俳句会」同人。

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