いいことがあるよ 花島照子
下へ下へ氷まもなく消えてしまう
雪解けを自転車思うより速い
水仙は顔は磨硝子の外は
そっくりな空き地目は風上を追う
星いくつも離れ離れにわれの熱
待てば花あふれるひとりきりの駅
寝心地や分厚い辞書に手をはさみ
つちふるや頭よくなるとの神社
まだいいと言われず春の泥の上
壊れかけの電話が街中に沈む
花島照子
1990年生まれ。『アウトロー俳句』(河出書房新社)『ヒドゥン・オーサーズ』(惑星と口笛ブックス)などに入集。
いいことがあるといいなと思ってる。