何人分   野住朋可

  • 投稿日:2021年01月16日
  • カテゴリー:俳句

何人分

何人分   野住朋可

ざつくりとセーターを着て両家の父
雪催塩ふる高さ定まりぬ
いつまでもあだ名で呼ばれ冬菜切る
淋しくなる椅子にコートを着せてより
占ひを真剣に聞く雪女郎
手袋の指先の虚のかゆくなる
都会とは硝子着ぶくれ何人分
機嫌よく止まるレンジや窓の冬
耳たぶのぶらさがりたる日向ぼこ
春隣びよんびよん揺らすティーバッグ

野住 朋可
1992年生まれ。俳句雑誌「奎」副編集長。
現代俳句協会会員。

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