親族  三井喬子


親族  三井喬子

白い便の出ていた赤ちゃんが 
夜半、昇天した 
 
その味を覚えた夜空は 
以来 
海綿のように命を吸ってしまう 
 
穴だらけ灰だらけ、でも 
作り直すのはもう厭だ 
 
いやいや  
もう 疲れてしまった…と、 
 
秋の夜空は 
雨、降らす 
終わりだよと 
雨、降らす 
水しぶきよりも低い位置で 
生まれなかったものがうごめいている 
ささっと流せ 
遠い日 
遠い窓、 
 
生きている罪というものが 
確かに、ある。

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