重たい色 天童大人
重たい色をした湖水が
もう
見えて来る筈だった
降りかさなった雨水が
低地の砂地を抉って
溜められた貴重な貯水
しかし、今、目の前には
ただ巨大な穴
獣たちの夥しい白骨が
積み重なり
放置されたまま
あの重たい色をした濁水も
この激しい陽射しが続く日々の下で
消えている
見渡す限りのこの荒野
獣たちは飲み水
をどこで得ることができるのか
乾季の砂漠の中 動く物
は何ひとつ見えない
ヒトは何処で渇きを
癒すことが出来るのか
濁っていても良い
水が欲しいのだ
この赤い砂漠のなかでは
作者紹介
- 天童大人
一九四三年小樽市生れ 文化学院文科卒
一九六六年 初めて「即興朗唱」を行なう。一九七二年詩人吉田一穂と会見。
一九七三年ピレネー山頂で、「太陽の啓示」を受け、聲ノ力に開眼。一九八一年より国内で朗唱会多数。一九八七年、ケネディ・センターのジュリアン・プール女史が、「UNIVERSAL VOICE®」と命名。一九九〇年夏 プール女史の推薦により、ザルツブルグにて、ソプラノ歌手ガリーナ・ヴィシネフスカヤ教授のマスター・クラスを受講。一九九七年、第七回コロンビア・メデジン国際詩祭から、世界の国際詩祭に参加。
二00三年三月二一日 イタリア・ヴェローナのアリーナ(野外闘技場)で、単独公演を行なう。二00六年十月から、プロジェクト「La Voix des Poètes(詩人の聲)」のプロデューサーとして二0一二年十二月二十八日で、第八八七回を刻み、全会に立ち会い、継続中。