うしろの空がきんいろだ コマガネトモオ
うしろの空が金色だ
あなたのうしろも金色だ
バックミラーに黄金、大団円
迫っている
「世界は必ず終わるけど明日じゃない、五〇億年後だよ」(ウラジミール・プーチン)
「誰しも残された時間はわずかである」(蜂飼耳)
終わると思っていた。
がらーんとしていた。
年が明けたその日、目が覚めたのは夕方で
明けてから夕方までの相応の時間が平和にすぎていたことを
(寝てたもんだから)実感できないまま
茫然と歩いた。
あの日、西新宿には誰もいなかった。
(あの頃はまだオフィス街だったもんだから
盆と正月には当然誰もいなくなる)
終わったのだった。
やっぱりあの時終わっていた。
あの時の空は赤い。赤い空、
空の色は
示唆に富む。
暗喩的。
毎日の代わる代わる流れる空模様を
空の色の意味を、
読み取ってしまわない方法がない。
迫りくる暗雲に、明けゆくやさしい藍色に
はたと気づく
なるほど、そうだったのか……
きんいろの地平へおちる しまう
寝てはいけない
それだけ決めた。
金環食の倒立像は、
月だ。
――泣くなって。