道 相沢正一郎

自由詩相沢130502-2

道  相沢正一郎

 道に、チョークでちいさなひとがたが描かれて
いる。そのすぐ近くに花束がおかれている。……
やがて、花束は枯れ、チョークの跡はだんだん薄
くなって消えてしまうだろう。あなたは、ちいさ
な白い輪郭に横になってみる。風が吹いている。
とおくで唱歌が聞こえる。
 おぼえている―――しずかな校庭のあかるい百
葉箱。くらい靴箱。壁に画鋲で留めてある時間割
や習字や絵画。美術室の石膏像の上にたまった埃。
薬品のにおいの漂う理科室のきれいに洗われた
試験管。チョークの文字を消したあとの黒板は、
星の雲に似ていた。黒板を爪でひっかくイヤな音
がする。

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