ほんとうはぜんぶいりようなのに嵐 ブリングル
三月」珊瑚」「かささぎ
あれは鉄塔」
書き下ろした言葉
癒えないように
乾くたびにかさぶたをはがした
にじんだ体液と泡沫
誰がかわりに泣いてくれるというの
わたしをみないこどもがいう
ついばんでは
引き戸の奥にいっぱいかくしてきた
しまいきれなくて床に散らばる
轍、あばら、それとも、味蕾
廻るゆびきり、げんまんきえた
おいてけぼりの子はかたちをうしなう
わがままで何がいけないの
酸素の薄い季節がまたやって来て
さ、む、い、とか、あ、たた、かい、とか。
花はこれから? 雪はまだ? と、うまれる子らの
ぬるいままのこもりうたかきみだす
ふりこの中にいるように日めくりかかえて
鳴らしてもバスはこない
わたしの届かないところで消えてゆく君の
せなかのくぼみに羽が咲いた
のばした手をすりぬけた焼けるような音
なにも残してくれないつもりでいるのだろう