わたしのいない間  暁方ミセイ

わたしのいない間

わたしのいない間  暁方ミセイ

食べかけのチョコレートを
みつけるでしょう、
それはひどく余所余所しく、恐ろしげにさえ見えるはずだ
生活のなかから
現れた物が、
全部途中のまま
先端という先端を妙に光らせて
ひとつひとつくっきりとそこにあるのを
わたしのいない部屋で
あなたは、見るでしょう
そのチョコレートを
なぜ食べないのか
(それはわたしの生命の途中にあるものだからだ)
先刻、
畑を焼いているのを見たよ
煙が夕方に立ち込めて青く鈍り、
火のなかに新しいお話が象られつつあった
柿の色が沈み、雲がどんどん落ちてくる風景の上に
わたしはたいして鮮やかではない
実感を張った
肌みたいに鈍感に張って
あしたこの世界を出て行くことを思う
それからまた
続いていく日があることを
天と繋がった心臓の糸で知る
肌に隠れる
遠山を夜叉が踏み鳴らし
秋、秋、暗い秋

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