YESⅡ   来住野恵子

YES2_来住野恵子

 
 
 

YESⅡ   来住野恵子

目と腹ばかり飛び出して
飢餓に耐える幼子のようだね
痩せた陽だまりの丘
すきとおった肋骨に冬日が落ち
まるで裸なのに
うっすらあたたかい

手袋も外套もあげてしまった
ネックレスや指環 手紙はもちろん
食べかけのチョコレート
住所や生年月日 名前さえも
こわれるままに
みなぜんぶ

それでもゼロにならない
破れた風を纏い
八方おどるサザンカの苛烈な真紅
ひびわれた表皮に
ゆらりそろり
地獄草紙の筆跡のごとく突き刺さる

〈忘れられない〉から〈覚えている〉へ
火炎不動は非の微笑を宿し
どこへも流れつかぬ髑髏るいるい
無軌道の花道に
いじらしく貢献している

足もとからめくれあがる対岸
芥子粒ほどの未来の匂い
書くよりも描くよりも首肯くため
触れるところすべて蘇らせる
あの火の指先が
滞留された朝を一気に呼び戻すまで

雪野原に散る鮮血のような
寝覚めの夢をはらい
降りしきる灰の地を行こう

尾を垂れて億光年
待つともなく
ただ待っている獣の耳で
闇底から響きわたる無数の流星群を聴こう

星々の漂泊の木霊
なつかしい遠吠えのような開闢かいびゃくのYES

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