まばたく   山腰亮介

0502

まばたく   山腰亮介

てのひらの皮膚の下の焰が舌を出している
幼い頃
真っ白な
指さきのない
手ぶくろをしていた
ある日の夢でそれを脱がした人のなまえは
いつも口ずさんでしまう
あの子
ではない
保健室のカーテンの内側のように
陽光は昏い

なんで鳴き止んでくれないの

左太ももで傷んでいる
半透明な目玉は
いつ破裂するかもわからない
夢に 入ってくることはない
ちいさな犬を二匹連れた
彼女の声と眸は
左太ももの目玉のように
匂っている

バスタブのふちに坐って
左太ももの目玉に睨まれている
皮膚をなでる飛沫のひとつひとつで
髪から降る ひとひらひとひらで
右上の奥歯で 右足の親指の爪で
目玉は はばたく

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