雲南/音楽の脈   宮下和子

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雲南/音楽の脈   宮下和子

雲南             

雲南
雨を突いて 二度とおとずれることのない異郷
ゴムの木々を切り崩した異境に
私は景色を見ることもなく 土地に人の
鼓動を
触ることもなく
窓からのびたこの世の果てまで来て そこに世界はあるのに

やみくもに
蝉の抜け殻をでたらめに踏んで
歩いた
ざわめく市場の声の反響を
西日の照り返りを
近くにいるとおもう人の呼吸を
ただただ聞いていた

朝に急ぐ
襤褸を纏った山岳の
マイクロバス 
横抱きに夜を運ぶ 乗り合い
バスが
この世で横転 転倒してもかまわない
雨を突いた
異教にいた
雲南

音楽の脈          

かつては千歳座と呼ばれて
歌舞伎があった
私は
ほこりをかぶって
長野相生座・ロキシーの くらがりに かがむ
ドンドン パンパン
反響の
リズム隊は立ち去ったばかりだ

私の目は節穴で
つっかけを履いて
鼓動の
影を引く

夢は記憶の無数のつらなり
毛羽立つ朝を
振り払って
耳底から地上へ舞い上がり
残像を記録する仕事を
終える
インストゥルメンタルの音楽の
脈に
音叉を置くように

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