朝の雨に恋人のおとないを聞く   暁方ミセイ

0704

朝の雨に恋人のおとないを聞く   暁方ミセイ

茂みに昨夜の
思考の跡が残っていて
そこがさみどりいろに
明るく雨に打たれている
今しばらくは
わたしの体のぬかるみ
夢が渦を巻き
感傷にかわりかけている
小さな終わりかけの発熱反応のなかへ
深く降りていく
何百年も遡る
春の雨が
おさむらいの髷を濡らしている
鳩が山からやってきて
濡羽の下を温めながら
もう終わる、もう終わる、と
くぐもった声で囀る

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