荻窪病院スクロール    川津望

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荻窪病院スクロール    川津望

ぷるぷるけるのばばっふぁ
ぷるぷるけるのばばっふぁ
おかからばくはつがミルクになる
かいしゅうせずほこうする
からだ どこ
まっくらななかでもうひとつのこえとわかれてあたたかいものへもぐりこむ
あさ りゅうひょうのきしむおととはいぜんのおとがしてめざめる
みずのほうへはゆかない
からだってじゅうしょだから

小竹向原と書かれたプラカードをみる行進する煉瓦がだれかの血液でひたいの
長い赤んぼうをあやしながら腕に刻まれる掃除機のノズルあーという発語に対
してともだちだったひとのゲーム機にセーブされていたカスタムキャラクター
が今朝霜柱として踏まれたゆくさきざきで横断歩道は歯科医に見せるための虫
歯を生成する天使なので皮膚病にかかった翼でぬくもる延滞していたビデオが
団らんを卵のように割るから台所でほうれんそうも使いきれないダンス ダン
スアイスピックが立ちすくんでいる冬の泥土にひろげそこねた腕をみずたまり
にしてYSLのバッグをもってだれにも身をゆだねないでいる座席には結晶の
ような横顔が! 車窓から見える雲もからい天国はカレーなのだひずみをよこ
ぎるあしゆびに猶予を含んであらゆる歩道橋が崩れてゆく歩く権利をふりかざ
すことばを持たないナイフへ百年先まで来ない昇降機のまえでひとびとは共感
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ぼうのしわがれ声を聴き鼻腔から吹きこまれたゆびさきは室内へ反射する緑の
名札のあいだで会うくわがたの首だけでている真昼のみこんだ患者はどれもま
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煙で巨体のスマホ小僧が見えなくなるまえに酒のラベルを貼りめぐらし胸の音
がガラス越しの大山奥多摩御岳山からせまってくる夕暮れだきりでかみをひん
やりとしめらせやまのなかをあるかせたっけたきにうたいかけるとまぶしいみ
ずおとがちかづいてきたねきぎのしげるうじざねの和声はけまり終止へ臍を移
動させて骨格をつくりにゆくすって すって

ぷるぷるけるのばばっふぁ
ぷるぷるけるのばばっふぁ
たにでしんぞうがゆきになる
ほうふくせずじょせつさぎょうまでしいくする
かなしみがあたまをひろくする
ずがいはすみにくいばしょをていきょうするけれど
としをこうしんするのはそんざいしないおんがくだから
みずごけにこおるくちびるをうめてふはいしながらくちずさむ
こえはしゅうせいされて

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