みんなゾンビ    山田消児

  • 投稿日:2012年08月17日
  • カテゴリー:短歌


みんなゾンビ    山田消児

目的もなくて伸ばせば普通よりかなり長めに見える両腕

本心のありかは知れず安直に射止めんとして狙う脳髄

ためらわず撃ち抜くべきだ人間かどうかは顔でほぼわかるから

生きるために喰うわけじゃない100%以上死んでるゾンビの場合

慣れちゃえばめっちゃ楽しい 生き残るためにばかすかゾンビ撃つとき

裁く価値さえないものが相手なら問答無用がいちばん強い

殺すのもやさしさのうち なりたくてなったゾンビじゃないと思えば

通じ合えたあのころのこと憶いつつ不意打ちっぽく鳴らす着メロ

だから言わんこっちゃないって 甘ちゃんがまたひとり馬鹿なゾンビに嚙まれ

生まれ変わるとはこういうことか 人ならぬしき本能湧き上がりくる

心までが徐々に死んでくものらしい伝える声を失くしたあとは

ながらえてみたい気はある魂極たまきるリビングデッドと蔑まれても

敵なんてみんな同じさ 撃て、殺せ、ときには逃げろ、目は合わせるな

人でなしも人のうちだとようやくに気づく屍だらけの道で

ゾンビから人にはなれぬルールだし、心おきなく撃ちまくろうぜ

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