水玉 松村正直

  • 投稿日:2012年12月28日
  • カテゴリー:短歌

水玉

陰陽をつながんとして山ひだのふかきところへ鉄路は向かう

みずたまにみずたまふれて輪郭のとけあうようなひとときのあり

金いろの屏風の前に立つひとの口はうごきてひかりをはなつ

タテに折りヨコに折りまたにんげんの身体とあそぶ冬の日の午後

時計なき部屋に時間を過ごしたり陶製の鳥の置物がある

ほそ長きパンにぎうっと挟まれてもう身うごきがとれない感じ

無理矢理ということ少し楽しめり午後のねむたい光のなかで

こんちくしょうこんちくしょうと木槌もて打ちこまれゆく一本の杭

ユリカモメの数もずいぶん増えました遠くに去りし人を思えば

脈打ちてホースの先より放たれし水はあかるく路肩を濡らす

作者紹介

  • 松村正直(まつむら まさなお)

1970年 東京都町田市生まれ。
1997年 塔短歌会入会。
2001年 第一歌集『駅へ』(第10回ながらみ書房出版賞)。
2006年 第二歌集『やさしい鮫』。
2010年 評論集『短歌は記憶する』(第9回日本歌人クラブ評論賞)。
現在、京都市在住。塔短歌会編集長。

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