例話    カニエ・ナハ

  • 投稿日:2019年04月06日
  • カテゴリー:短歌

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例話    カニエ・ナハ

つまずいているピアノ 予鈴は午後の無人の教室を巡って
つまずいているピアノの午後は予鈴は無人の教室の光りは
つまずいているピアノは午後に 予鈴はセザンの画布の余白に
ピアノのつまずいている予鈴は セザンの画布の余白の輝き
つまずいているピアノの精霊はセザンの画布の余白に留まって、光
ピアノにつまずいて 精霊は午後の無人の教室で、光
つまずいて、ピアノ 余白は光 予鈴はミレイの水の精霊は
つまずいて、ピアノは余白 カレーは辛いね過労は辛いね
辛いから辛いではなく辛いから辛いんだよね、つまずいているピアノ
ピアノはつまずいて、礼は要らないと、セザンは画布に余白を残して
礼は要らないと、セザンはつまずき、さかさまのサント・ヴィクトワール山
精霊はつまずいて ピアノはさかさま セザンの画集の林檎はばらばら
つまずいて、精霊はさかさまのピアノを、セザンのさかさまのリンゴを
亡霊はあまねく画布に宿るセザンヌ つまずいたまま、さかさまのリンゴのままで
つまずいているピアノは二度とは戻れない余白は ミレイは画布を寡婦へと変えて
つまずいているピアノ セザンの画布の余白は寡婦か
つまずいているピアノはセザンの余白は寡婦か
つまずいているピアノは寡婦かそれとも寡夫か
寡夫か つまずいているピアノは
寡婦か つまずいているピアノは
つまずいているピアノは寡婦か
つまずいて、ピアノは寡夫か

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