海底撈月――多行形式俳句
笛地 静恵
正方形四
つの正四
面体を傾
け夏休み
ここはど
こ迷い町
の歩道橋
の上弦よ
虫ピンに
臍貫かれ
展翅板上
の全裸体
前髪を下
ろし少年
生糸の都
市の緊縛
※
マリオネ
ットゲー
ム哉永劫
回帰?羅
オリオン
帰郷ゲノ
ム一挙に
老い兆す
勾玉へ翡
翠の研磨
朧月の根
状性糸束
筏は月光
を載せ再
び海嘯へ
涙の幼子
長足を干
す長い部
屋の長い
長い時計
※
告天子よ
散華せよ
竜胆苦渋
の決断故
大雪は神
楽の面へ
散骨は静
かの海へ
行列を化
して奇を
飢ゑ十代
わ造花祭
竜虎の噛
み痕の振
り子東西
の橋流失
零戦の影
絵を見た
り前歯抜
け筑波山