自伝のためのソネット 野村喜和夫

野村詩130719

自伝のためのソネット 野村喜和夫

ある日 私は17歳で
ざらざらした角材のやうに
世界ときそつてゐた
またある日
 
私は10歳で 風ときそひ
びゆんと鳴る冬の送電線だつた
だがそれら風や世界と
何を私はきそつてゐたのだらう
 
問ふまもなく行為はひとを
光のやうに突き抜けてゆく
のだとしても いま
 
夏草の茂みを分けて
奇跡さながら
きみの肢体があらはれる

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