0 西生ゆかり
本当に分からなかつたの
ほんたうに
布団に潜り込んで来たもの
私は0だつた
赤子だつた
季節も何もない所にゐた
(しやらしやら)
声が遠くから来て
(しやらしやら)
黒い息がこぼれて
(しやらしやらしやらしやらしやらしやらしや)
冬の夜ゆつくり落ちるシャンデリア
(しやらしやらしやらしやらしやらしやらしや)
1が私の中を通つた
いま私は
人間の喫茶店でかうやつて言葉を編んでゐる私は
どちらかと云へば
鏡に顔として映る
どうでもいいけど私の名前だけは呼ばないでほしかつた