大道大乗歩行―芸能芸術起信考―【七】
土方巽の為の十七音階 男波弘志
写真集「鎌鼬」細江英公
それつきり稲架の高みにある舞踏
おんおんと胡桃の芯にある掟
虚貝は広くて広くて睡からむ
葬列の大首絵めく月夜かな
足裏が見てゐる栗の虫の穴
羊水を出てばらばらに動く四肢
うづくまる蝶の真似して月を浴ぶ
斬られたる水面の溝をくる舞踏
二枚貝のそこらぢゆうから水溢れ
関節をゆるめ縞ふくろふになる
はぐれたる所作を聚めてゐる胡桃
一粒の種より低くなる躰
執筆者紹介
- 男波弘志(おなみ・ひろし)
昭和41年(1966) 真冬 出生
北澤瑞史 創刊 俳誌「季」 元会員
岡井省二 創刊 俳誌「槐」 元同人
永田耕衣 創刊 俳誌「琴座」マンの会 元会員
現在 俳誌「里」 同人
既刊句集 『阿字』(田工房)
合同句集 『超新撰21』(邑書林)に入集