滲む 亜久津歩
/a/ざやかな朝まっ赤な傘が肌が歯が這った痣は
やわらかなままかさなったら泡だったから贖った
吃るレコード 戻らぬ時計
「腐す顎には蘭を挿せ」 留まり続けて琥珀になれば
わたしも唖であり聾である
叶ったはだかはさかさまあさはかなからだは花束
なら叶わなかったらわからなかったささったまま
放った風花はらはら 彼方からあなたはただ
永き夜へ
すみきるみなもすすみゆくあなたは息をするひかりかも
蒼む左岸にすわ流れつきみたびふたたび遡る
骨のかけら
を根に潜ませた肉は旅路をくりかえす
束の間の常でした
はるかなるすべらかな手に胡桃はまわる
生きたまま枯れる花野がすべてだ と
あなたとは誰だったのか たとえば火
たとえば機械仕掛けの檸檬
あいべつりくの成すはるもにあ
もう二度と逢えないだろうあなたには
(逢えたことさえないかもしれぬ(ここにいる (あなた
とは何なのだろう) かえりみち
月のひかりのはかなさを つみほろぼし とつけて
放った
ら
はらはら風花
彼方から
ただ わらった、