川柳 可食の闇
丸田 洋渡
ひとつずつ眼がこぼれていった
黄昏がたいへん混みあっています
譫妄のコインランドリーのコイン
食べられる闇というのは嘘だった
教育の・回鍋肉の・放電の
呑み込んで呑み込まれての間柄
法律が濡れないように傘をさす
さすがの情操教育だった
殺人鬼vs睡魔(part 6)
伝書鳩はじまり落下傘おわり
ハートマークの矢面に立つ
光がさしたかと思われた
夏休みの戦争を提出します
かがやきの双眼鏡に火を映す
白鳥がいなくなったら古書店も
液体の光をシュノーケルで行く
井戸からは何も出てこなかった はず
埋蔵と発掘の炊き込みご飯
蠍的空間にナイフと右手
闇鍋の闇から戴くとしよう
(プロフィール)
丸田洋渡(まるたよっと)
1998年生まれ。高校から俳句を、大学から短歌を創作開始。短詩系webサイト「帚」運営、短歌ユニット「第三滑走路」参加。