葡萄 秋月 祐一

葡萄
秋月 祐一

かはうそと交はす握手や涼あらた
はんこ屋にわが名をさがす星月夜
邯鄲を聞く会以来でしたつけ
黄金糖くちにふくんで耕衣の忌
三日月をしぼつただけの酒をくれ
目が覚めてやつぱり葡萄だつたのよ
赤い羽根つけた幽霊ほほほほほ
変身の呪文はシャインマスカット
白い手がひらひらと呼ぶ菌狩
ないものはない店で買ふ胡桃の実

秋月祐一(あきづき・ゆういち)
 一九六九年、神奈川県生まれ。東京都在住。
 二〇一五年より作句をはじめ、「船団」を経て「麒麟」「窓の会」に所属。二〇二三年冬
ごろに第一句集『いつしんに泳いだあとの』(七月堂)を刊行予定。

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