乾燥湯葉 竹内 亮

乾燥湯葉

竹内亮

彼岸花の色褪せてゆく日曜に猫のくしゃみを二階に聞きぬ

日が射せば痛みと痒みゆるやかに身体にあってソーダ水飲む

ドラム缶にゴミ燃やしおり思い出す亡き祖父の庭 牛の匂いの

六畳の窓の硝子にいくつかの乾燥湯葉のような鼻水

まだ髪を切ったことないみどりごの柔らかき毛に風を受けおり

透明な数珠の途中に紫の石混じりおりあなたの腕の

畑にはビニールを張る水色の七つのアーチくぐる北風

テーブルに家族の茶碗淹れられたその茶の色はどれも違いぬ

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