春のふり
未補
書きだしをずっとあるいていく日々に白い切符をあかるい花を
25:00。喉に嵐を飼っている。指をいれてよ。さかさまのまま。
雪を産む。それから耳をかけ違う。ほら船底に百合がひらいた。
帆を盗むように額を撫でてゆくあなたは月を塗るのがじょうず
恋人と髪を切りあう雪の日の造花はあおく褪せて眩しい
あたらしい楽器が燃える、川を買う、わたしは雪のままの手触り
雨の日のアトリエ寝息ごと番うまっさらに時間が毀れていく
あなたの青を巻き戻る、雨が、煙草が、がらんどうの鳥籠まで
ステンドグラス、泣いている、のに、夢を脱ぐ、宛先のこと、貝殻のこと、
半券をもぎる係になりたくて息する春のふり、春のふり、