ラジオ 山西雅子
荻吹くやぬかるむ径を汀まで
石上りつめてぽーんとばつたとぶ
ラジオつけつぱなしの車ほたるぐさ
コスモスや友へ小さき袋物
花薄風強ければ歩きけり
かたまりてなんばんぎせるその蕾
振る竿のひかりて秋の海の色
秋冷や木の下に置く鉄の椅子
誰も居ず野菊日和の空青し
小蝦ゆきかひ秋の水きらきらと
山西 雅子(やまにし まさこ)
詩・短歌を経て、平成元年秋、岡井省二に師事し俳句を始める。
「舞」主宰。「星の木」同人。句集に『夏越』『沙鴎』。
歌集に『花を持って会いにいった』。