第8回詩歌トライアスロン鼎立作品奨励賞連載 スター 髙田 祥聖

第8回詩歌トライアスロン鼎立作品奨励賞連載
スター
髙田 祥聖

走るときわきめもふらずに走ることなんて
できるの
視線に絡めとられないで
引っ張られないで
目的地まで一直線なんて
立ちふさがるものを蹴飛ばして
その命を奪ってまで走り続けるなんて
できるの

星を手に入れたとき
わたしはなんにでもなれると思った
いままでの自分ではない
星になったと思った
いままでの

無敵

「なんか変なこと言っちゃうのかなあ」
「変なこと」
「変なこと」
「変なことってなに」
水晶体なんて、結局はゼリーだ
「他の人にはわからないことだよ」

左から右にしか行けない世界だったらよかったのにね
一方通行の世界だったらきっともっとかんたんだった
後ろからなにかが来てドカン!

また最初からスタート
して予定調和の世界
なにもかも知ってるから前よりも上手に生きられる
みんな敵みんな死ね
みんなただの障害物の役回りだから笑って死んでいってくれる
笑って死んでいってくれている気がする
わたしは走っているから
わたしに轢かれていったひとがどんな表情だったかわからないんだ

「長押しするんだよ」
「長押し」
「うん」
「そんなコマンドあったんだね」
「苦しまないといいよね」
「あはは、やさしさ」
「あ」あ、また

死んだ

ねえ、わたしってわたしで合ってる
わたしは走ってるから
無敵だから
もう何も感じないんだ
もうぜんぶわたしだから違いがわからない
目の奥から無敵の音楽が鳴ってるんだ

「わかんない」
「なにが」
訊かれると
取り戻す
「なにを」
輪郭を
重力を

ああ、今度はたぶん
きみのほうが
スター

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